2018/10/21 21:20
20代半ばの私はロンドンにいました。スイス人のジャクリーヌが私のデイトの相手。
ジャクリーヌは歯医者の助手、休暇を利用してロンドンで語学研修です。そして私との運命の出会い(どちらかと言えばお互いに不運)。
オーペアをやっている連中より少しお金持ちで、彼女が一緒に行こうと持ってきたティケットはPink Floydでした。
正直言って、そのころの私はFacesのRod Stewartぐらいしか知らなくて、Pink Floyd?
ジャクリーヌに聞いても、ともかく演奏がすごいからというだけで、彼女もそれほど知らないようでした。
大昔のことなので、まったくうろ覚えです。
ロンドン市内のサッカー場が会場だったように覚えていますが、天井があったので、サッカー場かどうかおぼつきません。
ともかく大会場でした。
まず度肝を抜かれたのは、ものすごく大きなボックス。人間一人中に入って椅子に座ってコーヒーが飲めるんじゃないかと思うようなボックスが会場あちこちに点々と置かれていました。
Pink Floydの演奏が始まるのですが、エレキの音がその大きなボックスを周回します。いわば、周りを音が走っているようなかんじです。
昼間の労働で疲れている私は時々音の上にのっかかって居眠りをしそうになります。
せっかく招待してくれたジャクリーヌに悪いと思って、時々カっと目を開いてジャクリーヌのほうを見るのですが、ジャクリーヌも催眠術にかかったような感じでとろんとしています。
ほぼ終わりぐらいに、今でもはっきりと覚えているのは小型飛行機が会場の舞台に衝突をしたことです。
衝突した瞬間エレキの大音響、大噴煙。
天井に吊るしてあった模型飛行機を舞台に衝突させたように見せかけたショーでした。
Pink Floydはその楽曲と相まって、魔法使いであった、と認識した一夜でした。